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CIID Graduate

Final Project追い込み中。
CIIDを卒業し、日本に帰ってきています。最後は、まさに追い込みでバタバタしていましたが、なんとかカタチにして、発表し、卒業しました。濃密な一年でした。帰国後も忙しくしていたのもあり、まだまともにふりかえられる感じではないのですが、ちょうど先日、CIIDに関心を持った方から連絡をいただき、いくつか質問に答えたので、それを転用加筆する形で書いてみたいと思います。

というのも、少しでもCIIDに関心を持った方に、学生や研究者、アーティストとしてCIIDに絡んでいただきたいなぁという思いがあるからです。来年のCIID Interaction Design Program(1年の教育コース)には日本人学生がいないそうなので、再来年は誰かに行っていただきたいです。

質問いただけると、自分で書くのとは違うニュアンスがでてくるから不思議です。Nさん、ありがとうございます!


Q. CIIDで学んだことはなにか?マインド的なもの、スキル的なものでもかまいません。

マインド的なところが大きいかもしれません。小さなスタジオ的な雰囲気のなかで、20名ほどのクラスメートや講師の人たちと集中的にアイデアをカタチにしていく訓練をいくつも積めたのが大きな収穫だと思っています。それは、プロセスを身体で覚えていくこと、スキルを使いながら学ぶこと、グループダイナミズム、友情など、いろいろ絡まっていますが、一年経ってみて、CIIDという場所に対する記憶や愛情が大きいです。どんな学び舎も、この愛校心みたいなのが大事なのかもしれません。

スキル的には、自分にとっては全く新しいプログラミングを学べたのが良かったなと。そして、新しいAdobe系アプリケーションのいくつかにも慣れることができました。客観的に考えるとまだまだ修練が必要だと思っていますが、オンラインコースも充実していますし、今後レベルアップしていけばと考えています。

むしろ、若くて優秀なプログラマーやデザイナーと一緒に過ごしたことで彼らの技術や姿勢について理解が進んだことが、今後そういった技能を持った方々と仕事をしていく上での収穫かなと思っています

 あとは、プレゼンなどストーリーテリングもかなり重視されるので、そのことを考えながらつくったり、スケジュール管理したりする力もついたかなと思っています。自分は、リサーチやビデオ編集ぐらいのスキルしかなく、プロジェクトの終盤は、おのずとスケジュール管理やグループマネジメント、ストーリーテリング担当になっていきました。締め切りがどんどんやってくるなかで、チームで課題に取り組みながら、ある程度のクオリティを保ち、ストーリーにしていくスキルは(プレゼンやビデオでまとめることが多いです)、

それぞれすでにスキルをもっていたクラスメートたちも、その力を活かしつつ、また新しいスキルを学ぼうとどん欲でした。今年は、教え合う雰囲気もあり、スキルある同士はそれぞれの強みを教え合い、スキルの差がある場合は先生ー生徒のようになって教えてもらったりできる環境でした。僕は、リサーチやアイデアづくり、メンタルサポート(とりあえず、じっくり話を聴く)ところでなんとか貢献しようとしていましたが、受け取ったものの方が多いかなと感じています。


Q. CIIDのResearch部門やConsultancy部門はどんなところか。

CIIDの建物には、Education部門、Research部門、Consultancy部門があります。それぞれの関わりもありますが、基本的には独立して活動しています。例えば、Consultancy部門のメンバーは、いつもはクライアントワークに取り組んでおり、年に数度、Education部門で教えることがあるくらいです。

Research部門とConsultancy部門の実際の仕事は、自分たちのプロジェクトが忙しいことや、守秘義務などもあり、横から少しかいま見たり、お昼時に話をしていて伝え聞くぐらいのことしかわかりませんが、コンセプトとしては、People Centered DesignやCo-creativeなどの哲学を共有していると思います。

私の印象では、Consultancy部門の方が、リサーチや提案をつくる過程でCo-creationしている感じがします。彼らは、守秘義務がある仕事が多いので、日々の仕事について話してくれたり、みせてもらうことができないのですが、異なるスキル(デザイン、リサーチ、プログラム、プロダクト)を持った7~8名で、クライアントも一緒になって課題解決をしていく仕事をしているようです。

Research部門も、2〜3名で構成されています。どちらかというとフィジカルコンピューティングやメディアアート的な印象があり、EUのリサーチファンディングなどを中心にすすめているようです。メディアやテクノロジーに明るいメディア論者、実践者といった感じでしょうか。期間限定でやってくる研究者もちらほらいます。


Q. どんな人たちが集っているのか。

Educationのクラスメートは、デザイナーやプログラマーとしての職歴がある人たちが半数以上いますが、国も違えば教育やしてきた仕事も違う、多様性が特徴です。CIIDのファウンダーであるSimonaは、「ベストなメンバーを選ぶより、ベストなチームを作ることを念頭に選考している。」と断言していたので、私の場合も、社会学を学び、大学やまちづくり会社で働いたことがあるというヘンテコな経歴があって入れてもらえたのだと思います。自分なりにもそれを意識しつつ、仕事経験やリサーチ経験、多様な知識、ワークショップやプレゼンの経験を活かして共同作業に望んでいました。

CIIDのスタッフのなかでは、トップのSimonaは、シナリオプランニングで博士をとっているビジネス戦略よりな感じの人です。もうひとりのファウンダーである、Vinayというインド出身の先生がかなりの切れ者でぼくは好きだったのですが、今年中盤からCIIDを離れてしまいました。今でもコペンハーゲンを拠点に、Frugal Technologyなどの面白いプロジェクトを手がけています。Education部門担当のAlieも、サッカーでいうとボランチ的な役割をこなす、キーウーマンです。情報やネットワーク、コミュニティのケアは彼女が中心です。

ConsultancyのBrianは元IDEOで、日本にいたこともあるので日本語も流暢に話せます。Design ResearchやCo-creative Methodologyの専門家と言えるかもしれません。Consultancy部門には、Education部門(CIID内ではInteraction Design Programの略でIDPと言われます)出身者も含め、バランスのとれた若いインタラクションデザイナーが4〜5名います。デザイン、プログラム、プロダクト出身のひとたちです。

IDPは、CIIDの専任が授業することもありますが、2週間とかのプロジェクトが多いので、外から来る講師たちが中心です。ほとんどの講師が、デザイン会社やウェブ会社を経営している実践家です。そして、そのフレッシュな講師陣が次々とやってきて刺激を受け、課題と締め切りが生徒たちに襲いかかるところにひとつの特徴があります。

自分にとって印象的な先生だったのは、さきほどあげたVinay。そして、TellartのMatt(彼は、客員教授みたいな立ち位置で年に数回きましたし、最終試験にもきてくれました。Tellartのサイトをみると彼の得意分野がわかると思いますが、デザインやアート、テクノロジーのどの領域にも才のある名プロデューサーであり、名ティーチャーだと思っています。そして、もう一人あげるなら、MethodのChris。彼は、世界初のサービスデザイン会社といわれているLive|Workの設立者のひとりで、プロダクトの教育を受け、ウェブにも明るく、ビックデータなども好きですが、彼も細部と全体の両方をみることができるデザイナーです。彼らは、みんな30代から40代ぐらいと、自分と年齢もあまり変わらないので、刺激になります(悔しさもあります)。

講師のひとたちは、少なくて3日間、多くは1週間から2週間、CIIDでコースを担当します。一日中一緒にいるので、教わるタイミングも講義の時、プロジェクトの時、ランチの時など、いろいろです。

Q. 時間の使い方、施設の使い方などは、どのくらい自由度があるのか。

IDPは、もうBrief(シラバスのようなもの)に追われる日々です。もちろん、24時間施設が使えるので、コースの半分以上の時間は、チームの裁量でプロジェクトをすすめていきます。自分の場合も含め、家族がいる場合は、チームメートと話し合いながら、スケジュールを融通してすすめていました。

Researchは、自由な雰囲気の印象ですです。プレゼンやワークショップの準備や報告書の締め切り時が大変そうな感じです。Consultancyはいつも忙しそうです。

IDPの生徒も20名弱しかいませんし、それぞれの部門が施設を使う期間も限られているので、誰でも自由につかえます。彼らもプロジェクトによって、施設の使い方が変わってきます。


Q. CIIDの雰囲気について。講師やスタッフ、生徒との距離感など。

ラボと言われる施設、キチネットやランチスペースを共有しているので心理的にはかなり近いです。しかし、外注仕事と教育は別物という感じで、絡みは少ないです。むしろ、卒業してからConsultancyに入ったり、起業支援してもらったり(CIID Nestという起業支援プログラムが来年から本格化します)するなかで、プロフェッショナルな交流をしている感じがあります。IDP参加者は、6ヶ月余分にビザがあるので、そのまま残って就職活動したり、CIIDのプロジェクトに絡んだりという人たちが毎年一定程度います。

海外からResearcherが2ヶ月とか半年などの期間でいることも多いです。今年は、5〜6名いたでしょうか。インターンのこともあれば、来年はIntelが出しているファンドでメディア研究者がきたりもします。そういった人たちがオープンレクチャーで話すことも多いですし、お昼時などで話すこともあります。


Q. 住環境について。

家探しは結構大変です。早めにCIIDネットワークや日本人コミュニティあるいは、不動産屋さんなどとコンタクトをとって、感触を持っておくと良いと思います。私は、まったく準備していかず、最初の1〜2ヶ月かなり苦労しました。AirBnBの部屋を渡り歩く感じでした。結局、CIIDのネットワークでなんとか決めることができました。

あとは、自転車が結構充実しているのですが、そのおかげでみんなスピードあげて走っているので注意してください。ヘルメットはつけた方がいいと思いますし、朝の通勤通学時の自転車は、車線変更や信号停止など、車の運転をしているような気分になります。コペンハーゲンの街はきれいなので、運転するのは気持ちいいですが。

あとビザにもよると思いますが、本人も家族もデンマーク語の研修(英語で行われる)が無料です。IDPで参加する場合は、時間など都合つけにくいと思いますが、受講している人の話を聴くと、現地で働いていたり、結婚してデンマークに移り住んだ方など面白い背景の方も多く、現地でまた違う雰囲気の友人をつくるのも良いかもしれません。自分も、時間の余裕があれば、デンマーク語をやりたかったなと思っています。

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