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間のあるプレゼン

デンマークの昔の医学学校のレクチャーホール

ここ数ヶ月、何かとプレゼンの機会が多い生活を送っています。しかし、だからといってプレゼンの力が急激に上がったかというとそういうわけでもありません。プロジェクトを時間内に終わらせることに力を使い果たして、プレゼンがイマイチになってしまうこともあります。クラスメートのプロジェクト発表をみていても、せっかく内容が良いのだから、もっとうまくプレゼンすればいいのにと思うこともあります。

ということもあってか、一日だけのプレゼンのワークショップがありました(たまに行うそうです)。いまどき、プレゼンについては、ちまたに情報があふれていますし、ありきたりなTipsを言われてもそれほど心動かない「ちょっと生意気な子」的なマインドセットの方が多いと思うのですが、英国出身元教師のコペンハーゲン在住の講師は、その辺りもわきまえていて、オーディエンスの反応を見ながら、即興的に演習を進めていました。

面白かったのは、英語がうまい人であっても、抑揚をつけるだけでかなり伝わる話し方になるところでした。特に頭が切れて、いつもはスピードにのって話すクラスメートがゆっくり話しだすと、そこにまた別の人格が現れたんじゃないかと感じられたのには驚きました。ネイティブスピーカーにも上達の余地がありまくるのです。日本人による日本語でのプレゼンだって上達の余地がありまくる場合が多いのですし、これはちょっと考えれば当たり前のことなのですが、目の前で変化を見せられたので印象に残りました。

英語を母国語としない自分にとっては、まだまだだぞという叱咤にもなりましたし、準備をすれば(あまり準備をしてこなかった)ネイティブに負けないプレゼンができるんだという自信(?)にもなりました。

一段落を10分ぐらい練習してから発表するというエクササイズをしたのですが、

・声の大きさを調整して、抑揚をつける。
・大事な単語の前にちょっとだけ間をあける。
・比較や対比などをわかりやすく伝える。

などのテクニックを、少しだけ体得できたように思います。これは、ほとんど演劇です。今後も時間をつくって、少しでも話し方のバリエーションを増やしていきたいと思います。

うまい英語のプレゼンといえば、Lord Ken RobinsonだよなぁとTEDのページにいくと、新しいプレゼンがアップされていました。おっしゃっていることの内容はあまり変わっていませんが、さすがの面白さです。ユーモアがあって、事例や引用が洗練されてて、自信に満ちあふれた(かといってお偉い感じはまったくしない)話しっぷりです。今回みてみて、彼の話し方には、結構「間」があることに気がつきました。話し方の癖のような感じもありますが、「間」が聴衆の心の余裕(期待)を生み、理解を高めているようにも思えます。

自分の場合は、「間」なのか「つまづき」なのか区別がつきませんが、「間」としてとらえられるようにごまかせれば、御の字です。




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