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Tangible User Interfaceをつくる

MIT Tangible Media Group


ブログ更新ご無沙汰してしまいました。

CIIDは、Tangible User Interfaceの4週間のセッションがはじまって2週間がすぎました。ちょうど3週目がはじまったところです。

このセッションのテーマは、「Re-telling Time」です。時を伝えるものといえば、時計が典型的ですが、Tangibleかつ新しい方法で時を伝えるプロダクトを作るというのが課題です。

1週目は、月曜日から水曜日までは、リサーチやインタビューを重ねながらグループで議論を深めました。私たちは、日々、時間に追われたり、迫られたりしているわけですが、時間について深く考えることは意外と少なかったりします。時間についてのインタビューは、その人の時間の過ごし方から哲学まで、生き様がよく現れていて面白かったです。

1週目の終わり土曜日もつかってにプロダクトデザインを専門とするUmeå Institute of DesignからきてくれたJasjit Singhのワークショップ、2週目に入ってからは、プロダクトデザイナーでもあり、リサーチャーでもあるRichardから、プロダクトをつくる時の考え方や模型づくりについてレクチャーをうけながら、プロトタイピングをすすめていきました。

コンセプトのブラッシュアップも同時に進めるのですが、議論やスケッチだけで話し合うよりも、3次元のカタチが加わることで、より具体的に考えられたり、逆に混乱が起きたりと予想外のことが起きるのが新鮮です。グループごとにコンセプトとモックアップをプレゼンしてとりあえず二週目終了。

今回のセッションは、ちょっと前のMotor and Musicのセッションにも近いものがありますが、よりオープンな課題なので自由な反面、議論し続けているとコンセプトがまとまらなくなる危険が常に伴います。

なので、できるだけカタチに落とし込んで、実際に使われる場面やケースに引き寄せながらグループ内でディスカッションを進めていくように気をつけます。グループダイナミクスの「山あり谷あり」は毎回のことなので慣れてきましたが、毎回、テイストだったり、勘違いだったり、コンセプトの善し悪しだったり、いろんな紆余曲折があります。幸いなことに、2週間経ち、我がチームもまとまりがでてきました。

さて、このTangible User Interfaceは、ご存知の方が多いように、MITメディアラボのHiroshi Ishii教授が提唱した"Tangible Bits"にそのひとつの起源があります。Ishii教授が率いる、Tangible Media Groupのサイトに行くと、Tangible User Interfaceのいくつものプロトタイプ事例をかいま見ることができます。

CIIDでは、このタイトルのセッションはもう4年目です。過去のプロダクトを遡ってみることができます。例えば、去年のプロダクトはこちら。Re-thinking Home Audioがお題でした。MITと比べると、コンセプトの新しさというより、実際に使われること意識した例が多いです。

これまでにないプロダクトを想像し、話し合いながらプロトタイプしていくという実験は、アイデアの生みの苦しさ、グループでの議論の紆余曲折の苦しさも含めて、かなり楽しいです。

あと2週間で、プロダクトの完成度を高めていきます。


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