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Experimental Imaging

MattとTimoによるExperimental Imagingのセッションの一週間。少し前のInformation Designでもお世話になりました。この二人は、教える内容もさることながら、佇まいとか話し方、アドバイスの仕方など学ぶところがたくさんあります。数年後はこんな感じのおっさんになりたいなぁという憧れのコンビ。二人で掛け合いながら、個人的な思い出や参考映像を見せながら進めていくやり方もグッドです。

Experimental Imagingのテーマはまさに実験。

カメラをつかって、できるだけExperimentせよ!というのが目標です。さらに、なんでも実験すればいいというのではなく、"Making Invisible Visible"が課題です。Making Invisible VisibleはTimoのこだわり(研究課題)でもあり、デザイン過程においてもVisibleにするのかInvisibleにするのかというのはひとつのポイントでもあります。

一週間の流れをざっと説明すると、月曜日は静止画についての課題(Brief 1)、火曜日、水曜日は動画についての課題(Brief 2)、木曜日、金曜日はさらなる課題(Brief 3)という流れでした。どれも2人組で行います。

Brief 1は、 見えないものを見える化する写真を撮る。見えないものとは・・・というところでいろいろな解釈もできますが、露出を長くしてLEDライトを持って走る様子を撮ったり、ボタンを転がして瞬間写真を撮ったり、とにかく実験しました。私のグループが特に時間を使ったのは、水に関する実験。噴水の写真を撮ったり、自分たちで水にモノを落としたり、ストローで波をつくったりして、それを様々な設定で撮影しました。

回転しているボタン

シャッタースピードや露出など、 知っている人は知っていることですが、こうしていろんな設定で実験する機会ってそんなにはないと思います。数時間、カメラをつかって身の回りのモノやコトで遊び倒すだけで、カメラとの友達度がかなりアップするはずです。

Brief 2は、同じテーマでストップモーションを使った映像をつくること。Dragonframeというソフトを使いました。

いくつかのトライ後、 もうひとつ面白くないなぁと思っていたところ、相方がトイレから帰ってきて、「しゃぼん玉」はどうだろう?ということで、しゃぼん玉の撮影をはじめました。暗いところで撮影したり、太陽光の下で撮影したり、撮影することでしゃぼん玉特有の動きや普通に見るだけではとらえられない「瞬間」をとらえることができました。

そして、ストップモーションの特性を活かして、しゃぼん玉が割れる瞬間を発砲スチロールの粉(ちょうどCIIDのリサーチ部門のメンバーがプロトタイプした後のカスが落ちていたのを拾ってきた)で再現しました。

他のチームは、電磁場を可視化したり、音を可視化したり、口から水を吹き出す瞬間を可視化したり、それぞれの実験で課題に答えていました。映像を見ながらの批評会も数時間にわたって白熱。

最後のBrief 3は、とにかく実験せよ!という課題。Brief 2までで、もうみんなができることはわかった。もうこの授業はパスしたことにする。だから、誰に見せるとか、プロファイルだとか、そういうことは抜きにして、リスクを冒して実験せよ。失敗したっていい。こういうことしようとしたけれど、無理でした。そういうのでもいい。とのこと。

ぼくらのチームは、しゃぼん玉から離れて、いくつかの実験後、カメラを振り回して撮影しはじめました。 ぶんぶん振り回して動画を撮るとかなり面白い映像になります。しかし、撮った映像をいくつかチェックしながら見ているうちに二人とも頭がいたくなってしまいました。ということで木曜日は早めに解散。私の場合も、頭痛が夜寝るまで続いたので、この撮影方法は違った意味でのリスクも高いようです。

最終日の金曜日の朝、撮影方法をひとつ思いつきました。ちょっと実験してみて、これはいけると判断。二人で下準備をし直して、最終撮影。その結果できた映像がこちらです。


Radial Vision from Takeshi Okahashi on Vimeo.


他のグループの映像もこちらから見ることができます(先週のドキュメンテーションウィークの賜物)。

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