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Industry Project 1st

9月の前半は、Industry Projectでした。企業から案件をいただき、それに取り組むというプロジェクトです。本格的に守秘義務があるので、今のところ詳しい内容は書けません。もしかしたら、数ヶ月後にはオープンにできるかもしれません。去年のIndustry Projectはオープンになっているので、 こちら から見ることができます。 授業のプロジェクトでもほとんどの場合、課題設定がされるのですが(Briefと言われます)、クライアントがつくことでよりリアルな仕事に近くなります。発注側とコミュニケーションしながら、かつこちらの能力や残り時間を考えながら最終成果物を仕上げていく緊張感は、これまでとはまた少し違う緊張感でした。 今回は、プロジェクトの中身だけではなく、良いところも悪いところも含め、プロジェクトマネジメントの点でいろいろと考えさせられることが多かったです。 明日から、もう一つのIndustry Projectなので、その前に久々の更新でした。

イノベーションラボとしてのMindlab

Powering collaborative policy innovation: Can innovation labs help? デンマークの省庁内フューチャーセンター(このペーパーでは、イノベーションラボを自称しています)として知られている MindLab の成り立ちについて書かれた論文をみつけたので読みました。来月、訪問する予定なので、その予習も兼ねて。 Mindlabは元々 サイト での情報発信がしっかりしていて、イベントにも参加し、いくつか出版物も読んでいたので、ある程度知っていたつもりでしたが、この論文は設立の成り立ちやその後の変化などが詳しく書かれています。最初から今のブランドを築いたのではなく、それなりの歴史と紆余曲折、そして戦略があったからなのだなということがわかります。 特に、組織としてはこの10年でいろいろと試行錯誤の上で変わってきたのだというところがよくわかりました。以下の分類が分かりやすいと思います。いわゆるフューチャーセンターのような活動していた第一世代から、よりプロジェクトベースの活動をするようになった第二世代(2008年以降)、そして今は、組織の一部というよりコアの部分にイノベーションを据える第三世代をめざしているようです。 しっかりしたコンセプトを持って、トップマネジメントを巻き込み、かつ状況に合わせて変化したきたMindlabのすごさは、的確で柔軟な現状認識と自己認識だったということも感じました。官僚制度の特性、マネジメントの問題、取り上げる課題など、慎重に検討しつつ挑戦というリスクを取ってきたようにみえます(少なくともこの論文の論調としては)。2008年に大きな変化があって、さらに2012年(この論文の執筆時)にも次なる変化について自己点検と戦略の見直しを行っているとのことです。 各国の研究者や実践家にも有用な資料として、こうして自らの歩みをまとめて発表しているところにも、本気でパブリックサービスを変革するんだという意気込みを感じます。 オーストラリア政府もMindlabにインスパイアされたイノベーションラボを設立予定だそうです。 省庁内外にも活動が知られてきた今後が、さらなるMindlabの本領発揮なのかもしれません。

サービスデザインのパイオニア

先週は、サービスデザイン会社の先駆けと言われている Live|Work のファウンダーでもあり、現在はMethodという会社でPrincipalをしている クリス が来て、いろいろと議論やアドバイスをしてくれました。 週の途中で、インフォーマルなレクチャーもしてくれました。サービスデザインをはじめたパイオニアでもあるので、どんな話をするんだろうと思っていたのですが、サービスデザインという言葉や手法に関しては、むしろ批判的なスタンスを持って仕事をしているようです。一応、念のために確認しますが、否定的ではなく批判的です。以下、いくつか簡単に紹介します。 例えば、サービスデザインの手法について。サービスデザインの仕事のプロセスは3つとか4つとかに分けて言われることが多いけれど、ほんとにそれでいいのだろうか、と話します。インサイトを得て、デザインし、それを現場に落とし込む。そういったサイクルをつくれば、仕事の分担もしやすいし、何よりお金が取りやすい。でも、それが本当に効率的に良いアイデアを生み出す方法なのかと。むしろ、リーンスタートアップのようにぐるぐると仮説と実践を即座に繰り返して行く方がいいのではないかと。 また、サービスブループリントについても批判の目を向けていました。もちろん、サービスの流れをマッピングして可視化することで見えてくる事も沢山ありますし、有用なところが沢山あります。でも、それってあくまで想定的なブループリントでしょと。おっしゃる通り、青写真です。 もっと実際のデータに基づいたインサイトの引き出し方が沢山あるではないか。無料のウェブ解析ソフトを使うだけでもいろんなことがみえてくるはず。あるいは、動きのあるブループリントだってできるじゃないかと。 かなり粗いまとめですが、エスノグラフィーとブループリントというサービスデザインでは中心的な手法について、いくばくかの批判的な意見を持っています。去年のサービスデザインのカンファレンスであるNEXTの講演でも同じようなテーマを話しているので、英語が大丈夫な方はご覧ください。まだ再生回数が50回と、少ないです。こちらです↓。 クリスは元々はプロダクトデザインを学んだそうです。それでも、今の工業製品みたいなものを自分は作りたいのか、大量生産して大量廃棄されるも...

Processingを夏休みの自由研究にするのなら

http://processing.org/ 絵を書いたり、マイコンを制御したりすることができるクリエイティブプログラミング言語として広く使われている Processing 。もっと使えるようになりたいなと、マイペースで勉強を続けています。しかし、ちょこちょことコードをいじっていると、こういうものは小さい頃から触れているに限るなと思うわけです。 ということで、もし今、自分に小学校5年生ぐらいの子どもがいて、今夏休みの自由研究を一緒にやらなくてはならない状況になったとしたら・・・。そして、さらにProcessingをテーマにするというハイリスクな選択をしたらどうなるだろうかということをふと考えました。 この選択はかなりハイリスクです。が、万が一うまくいった場合にはメリットもあると考えられます。 メリットとしては、 ・親子で新しいことに挑戦できる。(特にプログラミング初心者の親御さんの場合) ・子どもがプログラミング言語に親しむことができる。 ・子どもがプログラミングを通じて、英語の世界にも興味を持つようになる。 ・「お父さん(お母さん)すごい」と尊敬される。 リスクとしては、 ・結局、夏休みの自由研究にならない。時間だけが浪費されていく。 ・子どもがプログラミングも英語も難しすぎると思い、学年があがってもどちらにも興味を失ってしまう。 ・「お父さん(お母さん)、自分でもよくわかってないのにひどい。」と蔑まされる。 などが考えられます。教える側がダメになるリスクも、教えられる側がダメになるリスクもあるので、大きな賭けと言えるでしょう。 しかし、いろんな可能性を広げてくれるプログラミング言語に少しでも取り組んで、何かしらの達成感を持つことは、悪くないどころか10年後の世界で仕事をし始める子どもたちにとって、もしかしたら将来大感謝される自分史的事件になることも大有りです。 では、このハイリスクなチャレンジに興味を持った場合、何をすれば良いのでしょうか。ここでは、特にプログラミングの知識があるわけではない親御さんを想定します。 まずは、少しばかりProcessingを勉強してみる必要があります。日本語で勉強できるサイトとしては、ドットインストールの動画がオススメです。 ...

図書館のサービスデザイン

ここ2週間は、サービスデザインの課題のため現場にでていることが多いです。新しい環境を観察できるので、現場は面白いです。今回の現場は主に図書館です。図書館のサービスを観察し、サービスの改善あるいは新しいサービスを提案するというもの。 デンマークに来てから、コペンハーゲン市内の図書館に何度か訪れたことはありましたが、ここまで頻繁に通い、いろいろとプロトタイピングを行い、ゲリラインタビューを行っていると、より深く図書館、そして図書館を成り立たせているデンマーク社会の実態も見えてくるような気がします。 サービスデザインのリサーチはどちらかというと難航しているのですが、それはさておき図書館に通うなかで感じたことなどを書いてみます。 私が通っているのは、コペンハーゲン市の西側にあるValbyという地域の図書館です。こじんまりとしたこの図書館は、ちょっとした前庭付きの古い建物を改築した造りなのもあって、雰囲気の良いザ・地元の図書館です。 一番良いなと思ったのは、貸し出しはほぼ自動化されてて、それ以外の探したい本だとかそういうことを相談できる図書館員に接しやすいようなつくりになっているところです。 入り口のところにカウンターがあるのですが、それは貸し出しのカウンターではなく、行政書類の申請ができるようにと数年前からはじまった市民サービスのカウンターです。 貸し出しはほぼ自動化された機械のみ。図書館員は小さなデスクにいることが多く、気軽に相談できます。 夏休み中の10歳くらいの女の子が一人で本を探しにきて、図書館員(子ども専門)と一緒にじっくり本を探している様子は微笑ましく、ぜいたくで有意義な税金の使い方だなと感慨深かったです。私自分は、幼い頃地元の図書館に行く習慣はなかったのですが、デンマーク人の友人に聴くと、すべからく図書館は自分の庭みたいなところだったと話してくれます。 きくところによると、数年前からコペンハーゲン市の図書館は子ども向けのサービスに力を入れているらしく、親子で楽しむ場所も小学生がくつろげる場所も大人と同じぐらいの面積をぜいたくにつかって用意してあります。午後から夕方にかけて、絵本や本を選んだり、読み聞かせをしている親子や家族がぽつぽつと訪れてきます。お母さん同士の出会いの場でもあるようです。 そして、最近始まっ...

どうしてタンジブルなのか?

Tangible User Interface、略してTUI(チューイー)のセッションが終わりました。今週は、この数ヶ月のプロジェクトをまとめるドキュメンテーションの週です。 あっと言う間の4週間でしたが、コンセプトをカタチにしていくのがいかに難しいかを実感しました。その分、レーザーカッターに親しくなったり、ボールペンの驚くべき精巧な仕組みに触れたり(だから、どのペンも日本製ばかりなのかと納得)、つくる力もついたと思います。同時に個人的にもっと力をつけたい部分も見えてきました。 今回のテーマは、Tangible User Interfaceでした。Tangible の語源はラテン語の「触れることができる」です。デジタル全盛の時代にTangibleを意識する意義はどこにあるのでしょうか。 ひとつは、ビジネスチャンスという経済的意義があるようです。最後のプレゼン時に外部からゲストでやってきた専門家の方が、「デジタルからアナログという単純な流れではない。モバイル端末は飽和状態で、市場は次を求めている。これからは、モノにデジタルが入り込んでいく。アナログ的なタンジブルなインターフェースに戻るように思うかもしれないが、デジタルが融合していくことは避けられない流れだ。」というようなことを言っていました。 そして、もうひとつは文化的意義です。これも最後のコメントで、担当教官のVinayが「TUIはお金にならない。お金儲けしたければ、アプリを作った方がもっと簡単だ。でも、これから社会でデザインされるTUIがどんなインパクトを社会にもたらすのか、どんな文化をつくっていくのか。それはバンガローのプログラマーだけが考えることではなく、インタラクションデザイナーが真剣に考えなくてはならないテーマなんだ。」というようなことを力説していました。 大げさかもしれませんが、彼の言葉のなかに、少し未来のモノやインタラクションを考えながらプロトタイプしていくことの意義を感じました。 以下が、今回のプロジェクトの様子です。プロジェクト全体の紹介は こちら (他のプロジェクトは週末にかけてアップされる予定です)。

Tangible User Interfaceをつくる

MIT Tangible Media Group ブログ更新ご無沙汰してしまいました。 CIIDは、Tangible User Interfaceの4週間のセッションがはじまって2週間がすぎました。ちょうど3週目がはじまったところです。 このセッションのテーマは、「Re-telling Time」です。時を伝えるものといえば、時計が典型的ですが、Tangibleかつ新しい方法で時を伝えるプロダクトを作るというのが課題です。 1週目は、月曜日から水曜日までは、リサーチやインタビューを重ねながらグループで議論を深めました。私たちは、日々、時間に追われたり、迫られたりしているわけですが、時間について深く考えることは意外と少なかったりします。時間についてのインタビューは、その人の時間の過ごし方から哲学まで、生き様がよく現れていて面白かったです。 1週目の終わり土曜日もつかってにプロダクトデザインを専門とする Umeå Institute of DesignからきてくれたJasjit Singhのワークショップ、 2週目に入ってからは、プロダクトデザイナーでもあり、リサーチャーでもある Richard から、プロダクトをつくる時の考え方や模型づくりについてレクチャーをうけながら、プロトタイピングをすすめていきました。 コンセプトのブラッシュアップも同時に進めるのですが、議論やスケッチだけで話し合うよりも、3次元のカタチが加わることで、より具体的に考えられたり、逆に混乱が起きたりと予想外のことが起きるのが新鮮です。グループごとにコンセプトとモックアップをプレゼンしてとりあえず二週目終了。 今回のセッションは、ちょっと前のMotor and Musicのセッションにも近いものがありますが、よりオープンな課題なので自由な反面、議論し続けているとコンセプトがまとまらなくなる危険が常に伴います。 なので、できるだけカタチに落とし込んで、実際に使われる場面やケースに引き寄せながらグループ内でディスカッションを進めていくように気をつけます。グループダイナミクスの「山あり谷あり」は毎回のことなので慣れてきましたが、毎回、テイストだったり、勘違いだったり、コンセプトの善し悪しだったり、いろんな紆余曲折があります。幸いなことに、2週間経ち、我がチームも...